骨盤の歪みの原因


骨盤は、仙骨・寛骨・尾骨が、がっちり連結しており、しかも、筋肉や靭帯で守られているので、通常は簡単に歪んだりすることはありません。

しかし、仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節は強い圧力に弱く、持続的な力が加わったり、何かの拍子に強い力が加わると、この結合部が開いたり歪んだりすることがあります。

骨盤は、生活習慣の癖などによって、知らず知らずのうちに歪みを生じてしまっていることが多いので、注意が必要です。

ここでは骨盤の歪みを起こすさまざまな原因を見てみましょう。


●姿勢や何気ない動作

・物を持つ時に、いつも同じ手で持つ

・バッグを持つ時に、いつも同じ肩にかける

・立っている時に、片方の足に重心をかける

・ソファーや床に座っている時に、片方のお尻に体重をかける(横座り)

・椅子に座っている時に、片方の足を組む

・寝るときに正面を向かず、横向きになったり、丸まったりして寝る

・ハイヒールを履く機会が多い

・底のすり減った靴を履き続ける

・合っていない下着を長時間つける

・テニスやゴルフなど左右非対称のスポーツをしている

このような何気ない姿勢や動作の癖で、自然と片方の骨盤に無理な負担をかけると、骨盤が歪む原因になってしまいます。


●仕事

・長時間の立ち仕事

・長時間の座り仕事

・長時間の前かがみ姿勢で仕事

・重い荷物を運ぶ仕事

休憩時間に体操を取り入れたり、仕事中の姿勢に気をつけることが大切です。

重い荷物を運ぶ仕事は、手で運ぶのではなく、全身を使って運ぶ必要があるでしょう。


●老化や運動不足による筋肉の衰え

老化や極端に運動不足による筋肉の衰えは、骨盤が歪む原因になります。

上半身と下半身をつなぐ大腰筋(だいようきん)が衰えてくると、上半身の重量を支えることが困難になってきます。

その結果、バランスを保っていた骨盤が後ろ方向にずれたり、左右に歪んでしまいます。

また骨盤は、腹直筋・腹斜筋・腹横筋の3つの腹筋によって守られていますが、これらの筋力が低下すると、骨盤が開きっぱなしになります。


●出産

女性の骨盤は男性の骨盤に比べて、出産するために、もともと柔らかくできています。

しかも、男性に比べて筋力も弱いですから、女性の骨盤は歪みやすくなっています。

出産時には、胎児が外へ出られるよう骨盤が開きます。

この時開いた骨盤は、ある程度までは自然に閉じていきますが、産後の骨盤ケアなどで手助けをしないと完全には元に戻らないと言われています。

骨盤ケアは産後すぐからが効果的です。

産婦人科の看護師や助産師が骨盤ケアの正しい方法を指導してくれる場合もあります。

出産後、体質が変わった、肩こりや腰痛がひどくなった、などの変化は、骨盤の歪みが原因になっている可能性があります。